日本家屋の歴史
日本風土ならでは
日本の家屋の歴史を振り返るとやはり日本の気候と風土や歴史的背景が土台となって今日に至ったと言えるでしょう。古代の日本では大きく分けて2つの形式があり地面を掘りそこに柱を建てて草で周りを囲うという竪穴式住居と地面からかなり高い所に床を張る高床式住居がメインでした。今日の和風住宅の原型が成立したのが鎌倉時代から室町時代と言われています。11世紀前後になると貴族達が寝殿造りという邸宅を構えて左右対称に建物を配置していました。政治の中心が貴族から武士に移ると仏教や影響や伝統文化の影響で書院造りなど武士の居宅に現在でも反映している座敷と呼ばれる接客室が成立して床の間や客間が作り出されました。又、庶民の住居も農村部地域でも白川郷の様な合唱造りなどの民家が作られました。その歴史を考慮すると切っても切れないのが木と紙の文化が日本家屋の形成を成し得ています。引き戸や畳、ふすまや土壁と言った日本古来の建築が現在迄息づいています。まさに自然素材の建築文化と言えるでしょう。竪穴式住居から木造建築まで文明、文化の進歩を遂げて寺社仏閣の建立を境に木造建築が日本の住居のベースとなってきました。日本の風土は高温多湿で自然素材である木や茅葺きで外部を仕上げ内部はイグサやわらなどで仕上げた自然界からの恩恵を受けた住居で奈良時代からほぼ現在の形状の住居が残っているのです。夏の暑い日は開口部を広くとった庇を木造建築の進化を遂げてお城や天守閣といった高層建築も職人の巧みな技で発展していきました。冬は少し寒さを感じますが日本人に適した住宅環境と言えるでしょう。
近代の日本家屋
明治時代になると近代化も進み西洋文化も取り入れられ財力に応じて住宅が作られました。東京を中心に防火の為に総土蔵造りの店が立ち並んでレトロな街並みが川越や高岡に名残を見せています。欧米から伝わった洋風建築に対して日本古来の伝統的様式を踏まえた和風建築が主流となってきました。大正時代以降は都市部の中流層が洋風に憧れて文化住宅なる建物が都市郊外に建てられました。現代では戦後、住宅難の質の低いバラックが大量に建設されて又、公団住宅など高度経済成長期に伴い合理的なライフスタイルがサラリーマンを主流に変化していきました。今日ではコンクリート住宅や輸入住宅も増え日本人の生活が多様化されて住環境もバラエティーに富んでいます。